ボッコボッコの惨事

台所を掃除する為に、数々の一升瓶を棚から出していた。

何気なく トンと置いた未開栓の瓶の底から ボッコボッコ ボコボコ 何かが湧いて出てきた。

見る見るうちに、チョコレート色からセピア色に変化しながら それは広がった。

「あらま~!」

と 事の次第が分かりその瓶をトレーに寝かせた時には、割れた瓶の中に少量の醤油しか残っていなかった。

長女がサッと新聞と雑巾を次々投げ渡してくれた。

その後の掃除は大変だった。床一面のふき取りをし、食器棚の下に新聞を差し込み、

マットは風呂の残り湯でモミ洗いをし・・・san zan!

「どしたん!どしたん!」

と 次女がやって来た。

ボッコボッコ ボコボコ っとネ!ここから・・・」

と 私が説明をしていると

「あのねぇ。」

と あきれた顔をした長女が腕組みをしてアコーデオンカーテンの手前に立っていた。

「昨日言ったことが実証されたね!結局、この家で 正気なのは、私なんよ!~っ!」

と 長女が偉そうに言って、ため息を付いた。

「え?」

あ~、確か言ってたわ。この家に何か惨事が起きたとしたら・・・・・。

母は途方に暮れながら

「あらま.あらま.」

と笑いだし、

長男はありとあらゆる策は取るけれど解決にならず、

次男は

「自分の所為(せい)で無い」

と強調し姿を隠し、

次女は

「どうしよ.どうしよ.」

と困惑し歩き回り、

父はナンドキもその場には遭遇しない。

「母さんは、湧き出る醤油を見ながら 笑いよったよ。ほら!今も笑いよる。」

と 長女が責めるように言う。

「うぅ~。」

私はこうして、年々 チッチャク….ちぃさく….なって行くのね!ぁーーー

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おててが恋しい季節

ここ数日とても寒くなりました。今夜は、コタツが恋しくて・・・いえ、子供のおててが恋しくて・・・と言い換えましょう。
子供の手はとってもあったかいのです。
家事が終わって やっとコタツに入りました。
コタツの中では、子供の手が 私の手を握るのです。そして、引っ張るのです。お布団の処へ行こうと誘うのです。
あまりの暖かさに じらして さすりまわって 私の手がぬくもった頃、子供は そっとコタツから出ます。
私は時間差を開けて ようやく布団へ行くのです。そして、子供の手を片方握って添い寝して トーントン!トーントン!
ちょっと待って! それは昨年までのお話なんですけどね・・・
今年は、廊下で会おうものなら、パンチが待っています。洗濯物を畳んでいると、プロレス技を掛けられます。
たまったもんじゃありません!ただただ気配を感じて逃げるのみです。
私はコタツで小さくなっています。
すっかり距離の広がりを感じてしまって 寂しいwa~☆
今年も あっという間に 子供のおててが恋しい季節となりました。

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師走の休日

12月3日
息子が免許を取って1年になる。
私の職場にまで乗用車を借りに来ること再々だ。気ままに乗り回し、これまでに私がどれほどやきもきした事か。
「ラグビーの試合、是非見たいんじゃ。」と息子は言って、彼女さんと後輩を乗せ、朝早くから東予総合運動公園へ行った。
私は師走到来~!ということで、その心配を振り切るために、朝から大掃除の4分の1を消化する目標をたて掃除に奮闘した。
「無事に着いたんかいね?」と息子の事が気になる。が・・・メールはしない。
気になって仕方なく、ますます掃除に奮闘するがますます気にかかる。
浴室・洗面所・階段まで頑張った。
あまりに気にかかるので、「こりゃーワヤじゃ!身が持たん。」と、寝ることにした。
昼を忘れて6時間寝てしまった。目を覚ますと、もう夕飯の準備に取り掛かる時間だった。
「昨日は、慣れない高速を走ったけん、まだ疲れとんじゃねぇ。」と 昼食は、娘たちが作り済ませていた。
まだ息子は帰っていない。「遅いね~。いつ帰る言よった~?」と皆に聞くが知らないようだ。
無事の帰りを 私は随分気に留めて 何度も表に出て農道を眺めるが影すら見えない。
皆、長男の運転など意に介していない。
レンタルビデオの返却日だったので、夫の車を借りようとしたら、「いかん!」と言って断られた。
その代わり、返却に行ってくれた。あれ?
「自分のことは自分でせー!」と 言う夫が、私がすべき後始末を買って出るなんて、ここ数年無いことだった。
夫も子供たちも、気になるのは、息子の運転より 母の運転らしい。
貴重な休日に寝てしまうなんて、あ~ 掃除はまだ残ってる。まだまだ新年を迎えることが出来ないよ!
息子の帰りは、バイトを済ませてからの深夜だった。

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初めての高速道路

12月2日
何度も松山へ出向くが、初めて高速道路を運転した。
いつもは気楽に松山へ行く。磯浦の海岸線を走り西条を通り、11号線に並行する河川沿いを走り桜三里を通っている。
その日は、試合前のアップを考え娘の要求する時間が迫る中、高速道路を走ることにした。
ETC車線と一般車線がどちらとどちらなのか、娘に尋ねた。
「右!かあさん右!」
と慌てて私に指示をした。
母と自分は共有体と思ったらしくそれからというもの高速を降りるまで娘は前方を見続けていた。
トンネルが数多くある。トンネルを抜けるとどしゃ降りの雨だった。
風でハンドルが盗られる。ハンドルを思わず強く握る。ワイパーを動かし、ライトを消した。
トンネルに入るとライトを点けた。ワイパーを止めた。
「ワイパーは任せて!」
と 娘が言う。
「いやいやぁ、母は大丈夫よ。」
と言おうとしたけれど、必死になっている娘が可愛くてお願いすることにした。
トンネルの出入り口に合わせて娘の右手がハンドルの下に来る。幾度も幾度も規則正しく操作してくれた。
車線通りに走っているのだが、「この車は、右により過ぎだ。」と言い張る。何度も言う。
右の車線を走ることにした。ようやく娘、落ち着いた。
高速を降りるところが娘の思う所と違っていたようだ。
「何度も高速を走ったけど、この景色は見たことが無い。大丈夫なの?無事着くの?」
と うるさい。
高速を降りて33号線を走り無事競技場に着いた。親子ともに長~いため息をついた後、しばらく笑い続けた。
試合前にやきもきさせてしまった様だ。一時間余り 可哀想なことをした。私の右足は引きつっている。
帰りは、いつもの通り下道を気楽に帰ってきた。
西条辺りで虹を見た。新居浜の新高橋を渡ると車中はオレンジ色に光った。バックミラーに映る夕日を見た。
車を止め二人とも写メにおさめようとしたが、自然の織り成す美しさは瞬時のことだった。
無事帰ってきて、次女が言う。
「今年一番怖かったことは、母さんの高速道路!今年一番面白かったことは、母さんの高速道路!」
どうやら、母の運転は信頼されていないようだ。
今年、もう一ヶ月もない。もっと面白い出来事が娘に訪れますように!

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