この日は風が強かった。
「波が荒れて漁にならんかった。魚の餌じゃけど、もろてくれるで。」
と言って、S氏がコノシロを持ってきてくれた。
『まぁー嬉し!こんなにいっぱいもろて、よいよっ気の毒なねぇ。ありがとう。』
身体の重心を右に左に変えながら、台所でコノシロを三枚に下ろしていた。
すると白いタイル壁が薄紫に染まってきた。
だんだん赤く、壁が色付いてきた。
おっ、夕日だな。
手を止めて、部屋中をぐるりと見廻した。
夕焼けが窓に映り、その反射が食器棚のガラス扉にも伝わり、あたり一面、赤紫に染まっていた。
濡れ縁に出てみた。先ほどまでの強い風はおさまり、夕焼けが地上に染み込んでいるようだった。
これぞマジックアワー。パチッ!
見惚れる間も無く、さぁー台所へ、コノシロ、コノシロ。。。
夕日を拝みながらまな板に向き合うのも良いものだなぁー。
娘が、2階から降りてきた。
「母さん、これ。綺麗な夕日だったよ。」
と、携帯の画像を見せてくれた。
『母さんも、ほら。』
と、デジカメの画像を見せてあげた。
お互いの画像をのぞき込んで、うふふ♪
2階から見る夕日は、また格別だったろうな。