僕を見て!

夜

『 ただいま。』 と、私が玄関を開けたとたん

もうすぐ15歳になる次男が、

「 もう、出て行ってやる!」

と、 私の横をすり抜けて、靴を履かずに玄関を飛び出して行きました。

『 どした?何があったの?』

と、リビングにいた兄弟姉妹 に訊ねると

右手を使え!

と、指摘する父親に対し、次男(本来左利き)の受け答えが悪かった為に、父親の過激な注意を受けた。と知らされました。

右手のギブスが退き身軽になったものだから、口も軽くなったのでしょうか?

あーあ、父さんにタメ口を叩いたらだめでしょ・・・!

数分後、玄関の扉が開いた気配がしたので急いで行ってみると、

終日息子に貸していた私の携帯が、マットの上にちょこんと置かれてあって、息子の靴が無くなっていました。

私の携帯の待ち受け画面が、可愛ぃ~スティッチから全く別のものに変わっていました。

ドキッ!

こんな画像を残して家を出るなんて・・・

悲しくなる

なんて、悲しい目。。。

息子の叫びが聞こえそう。。。

隠れたきゃ、しばらく隠れませ!

・・・・・・・・・・・

『 お父さん!あの子はとってもイイ子よ。昨日だって・・・、なんだかとっても嬉しそうだから 「 どしたの?何か良い事あった?」 と訊ねたら、シャイなあの子が、しばらくニコニコして、ようやく打ち明けてくれたんよ。「 面接態度が、とってもいいよ!○○君は、良く頑張っているね。」って、養護の先生から 誉められたそうですよ。受験生は誰だってナーバスになる時ですよ。認められたら嬉しいものですよ。受験間近のこの時期は、自信が付くようにみんなが心配りをしてくださっているというのに・・・。 』

あんなんがどんな態度をとったか何も見てないのに、口を挟むな!

と、父親はかなり機嫌が悪く、ゴロンとリビングに横たわったままです。

あー、隠れたきゃ、しばらく隠れませ!

『 息子はきっと帰ってくる。』

と、心に何度も言い聞かせ、家事をしながら何らかの便りを待ちました。

一連の家事が終わっても何の知らせもありません。

『 あの子は、きっと私のもとへ帰ってくる。』

と言いながら、いつもより早く寝床に入りましたが寝付けず、携帯を眺めてばかり。

午後11時、息子の同級生のお母さんからメールが届きました。

「次男君、ウチにおるよ。今、部屋を覗いてびっくり!いつも6時には帰るのにねぇ。 」

感謝を込めてメールのやり取りを数回した後、次女がコートを抱えお迎えに行きました。

妹の説得で、やっと、息子が帰ってきました。

・・・

息子のプチ家出が無事終わりました。

『 それにしても、この悲しい目はないでしょ!!母さんも悲しくなったわ。』

と、息子に話すと

翌朝、私の携帯の待ち受け画面は次のとおり・・・。

僕を見て!

「 僕を見て!」 かしら?

「 僕はもう大丈夫!」 かしら?

あなたの瞳に優しい灯りが見えますよ。

あなたがどんなに姿を隠しても、私はあなたを感じています。

私は、傍に居ますよ。

いつでも、いつまでも、あなたを見ています。

LOVE

今年2回目のプチ家出が無事終わりました。

星

真っ直ぐ

バラ
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長女は毎朝、クルンと回る癖髪をアイロンで真っ直ぐ伸ばしています。

そして登校途中、後ろ髪を少し低めにゴムでまとめているようです。

真っ直ぐなのはイットキで、数時間後にはクルンと回ります。

小雨に当たろうものなら、ボワン、クルンと可愛らしい癖が出てきます。

本人はその癖髪が気になる?嫌いな?様子です。

『髪より、制服のスカートのプリーツのアイロン掛けに精を出して欲しいわ・・・クリーニング代が浮くのに・・・』

と、訴えた事がありますが、

「よくゆうわ。自分はストパー当てとって。」

と言われると、返す言葉がありません。

.

今日は高校の卒業式でした。

「母さん、その髪、ちゃんと整えてから来てよ!・・先に・・・行ってきま~す。」

娘は真っ直ぐに下した前髪に触れながら出掛けました。

十数分で身なりを整えた私は、それから1時間後、保護者席で雑談しながら式の始まりを待ちました。

遠くからみる私の娘はとても綺麗でした。

コムサの制服の着こなしもお手本のようにつつましやかだったし、時間を掛けた黒い髪もつやつやと真っ直ぐでした。

勿体無いほどのステキな合唱を聴きながらだんだん感慨深くなりました。いろいろなことがありました・・・・。

小学生の時、ミニバスのまとまりが悪くなって、孤立無縁の辛い立場になったことがありました。

それぞれの保護者に、そして、監督に助け船を出してもらおうとした私を娘は止めました。

「何を言ってもダメ。」

既に担任の先生があれこれ手を尽くしてくれた後で、

「彼女達は貴方に甘えているんだから、受け留めて上げなさい。」

と言われた事を私は知らされました。

やっとの思いで訴えた想いは、仲間同士で用意された言い訳で流されたのでした。

十歳そこそこでは恐らく誰も耐えられないような・・・沢山の涙をこらえたことを、私は知っています。

その当時、母として何を成すべきか?と自問自答をしました。

今でも、口を挟まなかった私の姿勢は・・・あれで良かったのか?と考えています。

最後までミニバスをやり通した娘に乾杯!

そして、今回、3ヵ年皆勤、よく頑張りました!

宿題の提出や授業態度を含めた娘の評定平均値は、クラスでトップでした。

これまでのあれこれ全てが、娘のエネルギーになったのでしょうか。

中学一年生の時、部活の無い日でした。

6時を過ぎた帰宅と、アイシャドウで目を強調した化粧にびっくりして、私は娘を叱った事がありました。

昨夜の話によると、玄関で仁王立ちした私は、まるで鬼の形相で とっても怖かったそうです。

それからと言うもの、娘は化粧には一切手を出さず、何処へ行くにも行き先を言って出掛けるし、

部活の無い日は、6時には家に居ました。

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粛々と式が終わり、それぞれの教室に戻りました。

順番に一言「楽しいクラスでした。」「みんな忘れないでね。」「これからも頑張ろうね。」

娘の番になりました。

「お母さん、4人のキョウダイの中で一番迷惑を掛けてごめんなさい。お母さん、有り難う。」

聞いたとたん、涙が止まらなくなりました。

迷惑なんかじゃない!ちっともメイワクなんかじゃ・・・と首を何度も振りました。

最後のホームルームが終わると、娘は、卒業証書を私に手渡し、このまま友達と出掛けると言いました。

『着替えないの?』

「もちろん!だって、これ着るの今日で最後だから。帰りは6時になるよ。」

アルバムの空欄に寄せられたクラスメートのコメントを読みました。

「スポーツ万能!」「頼りになる!」「素早い判断力!」

というメッセージが、数々目に入りました。

親の知らないところで子供は成長しています。

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卒業式は親にとっても巣立ちの時なのでしょう。

18年の出来事を娘は忘れてしまうかもしれません。

でも、私の脳裏にはこの子の苦労している顔や頑張った顔が、しっかり焼き付いています。

卒業証書授与式後のホームルームで、涙を堪えて感謝を述べていた真っ赤な顔も忘れることは無いでしょう。

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さて、明日は娘と一緒に化粧品を買いに行きましょう。

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LOVE