霧から霞へと

 

ボーーー!! 船の汽笛が鳴った。

目覚めて濡れ縁に立つと深い霧がかかっていた。

10m先が霞んでいる。畦道に行き交う人は居ない。

深呼吸をして、霧から霞へと彷徨って歩いた。

一面に春が広がっている。

 

歩いても歩いても体は温かくならなかった。我が家が見えてきた頃、前髪がしっとり濡れていることに気づいた。

プランターいっぱいに咲き誇る桜草が見えた。一月の大寒の真っ只中、数枚の葉の時に母からもらったものだ。

花びらと花びらが重なり合って咲いている。その花の陰に沢山の蕾がある。

可愛いくて綺麗なピンクの桜草を愛でている瞬間も刻は流れている。

私は言葉に出来ないくらいこの刻が好きだ。

玄関先に筍が置いてあった。段ボールの中に太くて大きいものから小っちゃいものまでゴロンゴロンと入っている。

父が持ってきてくれたんだー。この交通事情の中、どうもありがとう。

 

 

霧

さくら草

さくら草

さくら草