二十年ぶりに早朝のバスに乗った。ある団体の夫婦山陰旅行に参加した。
瀬戸大橋から眺める小島と漁船。
颯爽とそびえ立つ蒜山。
霧の掛かった宍道湖。
大社造の立ち並ぶ民家。
傘をかぶった寒牡丹。
紅く映える樹木。
厳粛な出雲大社。
白無垢、綿帽子の花嫁。
あいにくの曇り空だったが、先々で のどかな景色 そして、人の姿が 私の眼に新鮮に飛び込んできた。
バスは、夫に勧められるがまま、もっとも後方に座った。
休憩が終わるたび、バスガイドさんが手をしなりしなりさせながら、後方まで点呼に来る。ターンして立ち位置に戻るのだが、お尻をフリフリ色っぽい!
その様を 夫は苦虫潰した顔で眺めていた。隣の旦那さまは、笑顔で両手をひらひらさせてお出迎えをしていた。
かわいいじゃないの~
時折奥様に何処かツネられているのだろうか、小さなうめき声が聞こえた。
お気の毒に・・・
点呼の際、私も隣の旦那さまと一緒に 手をきらきらさせてバスガイドさんを出迎えることにした。
すると・・・
「ハン!所詮、質が違うわい。あんたのは、幼児とお遊戯じゃの!」
と 夫に言われてしまった。
何じゃ ふん!
出雲大社では、人とのご縁を願い、金銭のご縁を願い、特に垣内参拝に熱が入った。
お陰で旅先で暖かく舞い込んできたのは、出会う人々の笑顔だった。
お土産などで ガッポガッポと支出は多かったが、金銭のごりやくは、帰ってからのお楽しみなのだろう。
白打ち掛けの花嫁に会った。お顔を覘くと、笑みがフツフツと湧いてくるような花嫁だった。(*^_^*)
情緒漂う純和風の宿に着いた。
部屋に入り早々と金品を金庫に閉まった為、仲居へチップを差し上げる事が出来ず、夫のご機嫌を悪くしてしまった。
宿に泊まること経験豊富な夫にとっては、私の行動が理解出来ないらしく、何度も「ハン」の声を耳にした。
まぁ~ご愛嬌!ご愛嬌!
その宿 白○家では、日本海の新鮮な魚介類を中心に盛り沢山の料理が楽しめた。
ちょっと気になるのは、小粒のしじみ・・・ しじみ生産の需要と供給が伴っていないのだろうか?もう少し大きいものを眼にしたかった。
若女将自ら「銭太鼓」の芸を披露して下さったが、とにかく関心なのは、若女将の笑顔・え・が・お☆
苦労を超越しているのだろうか 太陽のような笑顔に 心暖まった。
夜の宴会は、その日 初顔合わせの面々なのにコトの他盛り上がった。夫たちは柳の木に誘われて、浴衣のまま何処かに消えた。
私はラウンジの隅の部屋で、フットエステ(30分コース・・・足裏・ふくらはぎ3,150-)を心地好く経験した。
マッサージ師の訪問コースがあったが、あれこれ考えて思いとどまった。
「マッサージを頼めば良かったワー」と朝、目覚めた時 後悔した。
檜造りの風呂と黒御影石の風呂が 朝・夜 交代で楽しめて、それぞれに露天岩風呂とサウナがあり、宿泊中三度もしっとり癒された。
二日目のバスの中で、改まって自己紹介となった。
「よぉ~に酔っ払ってしもて 朝目覚めて 隣に嫁がおってびっくりしました。」
と言う 旦那さまがいらして
「ほぉなん!ココに来てまで、世にそんな旦那がおるとは・・・そりゃケシカラン!」
と 今まで標準語だったバスガイドさんが、覚えたばかりの新居浜弁で笑いをとった。
私は単純なもので 「どこも同じね!」と思うと バスガイドさんの憤慨振りに 満面の笑みとなった。
今回の旅、家事の手を止めて眼で楽しみ、口で楽しみ、足で楽しんだ。帰宅して想う。どうやら別世界に迷い込んでいたようだ。
「企画して下さった方のおかげで、子供達のおかげで、夫のおかげで・・・」
と 今夜は静かに旅のことを思い出している。
それにしても若女将の心ほぐれて満ち魅ちていく笑顔は、太陽の如く 天下一品であった。
あやからなきゃー
お色気たっぷりのバスガイドさんの魅惑の笑顔。 バスに同乗した快活な皆様の笑顔。この旅は、様々な笑顔と会話に顔がほころびっ放しだった。
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