娘の良縁

『二人の結婚をお許しください。』

と、麗しの影武者さんが現れました。

もはや彼の存在は幻だったの?と思う昨今でした。

「ワシの娘に彼氏はおらん。」と、言っていった夫ですが、これで認めざるを得ないでしょう。

夫は、飲み干した湯飲みをトン!と テーブルに置いて、私に無言でお茶の催促をします。

トン!の音とともに影武者さんの膝頭にある拳が、ギュッと引き締まります。

「遅い!」

「結婚は、ママゴトじゃ無いんぞ。」

と、夫の語尾が部屋に響きました。

うさぎが娘の良縁を知らせてくれました。

私は、ホッと胸を撫で下ろしました。

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月
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退院

皆様、お元気でお過ごしですか。
朝夕日毎に涼しくなり心地よい時節となりました。夫は、お彼岸に入る前に無事退院することができました。
入院中は大勢の方に温かいお見舞いと励ましをいただき、また、退院に際しましてもご丁寧なお祝いをいただき、大変に心強く、感謝の言葉もございません。
しばらくは様子を見ながら自宅療養に努めてまいりますが、順調に回復しておりますのでどうかご安心ください。
これからも変わらぬお付き合いのほど、お願い申し上げます。

今日は病棟の仲間が大勢エレベーターまで見送ってくださり、夫の愛されキャラは健在だな~☆”と、確信しました。
エレベーターの中で『外面は抜群にエエねぇ。』「お互い様じゃ!」とプチバトルとなりました。

今年の夏は本当に長かったですね。
入院中は、エレベーターまで送ってくれる夫と7階の窓から燧灘を見渡していました。
秋風の訪れるこの窓にも「さようなら」・・・。

病室へ入ると数分も経たないうちに「はよっ帰れ。」と言う夫でした。
夫が怪しくって嘘が何となく分かります。病室の空気がおかしいことも感じます。夫の情熱が隣向かいの病室まで分散されています。
ちょっと見たところシャイそうに見受ける夫ですが、ココでも巧妙な口先でロマンスを勃発中であることがビンビン感じとれました。
このフェロモン、妻の人生を雑に扱った先に放出されていることを本人は少しも感じていないようです。
秘密の多い夫を相手にしていると心細さを言う気になれない私はますます頑なになります。

入院生活前半の一ヶ月、夫は驚くほどのスピードで体重が減りました。思うように歩くことも出来ず、体は動かさないと本当に弱ると実感しました。
後半は、病棟の仲間に励まされ階段や中庭などを利用し毎日調子良くリハビリに専念しました。
今は、後遺症もなく普通の生活に戻るリハビリ中です。手術前のような疼痛はありませんが、稼動域を把握していない為の痛みがあるようで…それって、無理をすると脱臼しかねないってことなのでしょうか?爆弾を抱えた心地です。

私の体調は万全で、この二ヶ月間、家と職場と病院を行ったり来たり。表向きは平然と!ふふふ…なんとか遣って退けました。
お金もいっぱい使いました。大黒柱が倒れると、家計は火の車だなぁということを再確認した次第です。

健康が一番です。皆さまも、くれぐれも健康にはご留意ください。
また皆さまのご家族にも祝福がありますように。

バラ

「あなたは誰?」

爽やかな青空です。

梅雨は明けたかな?

隣で夫が

「釣り日和じゃのう」

って!

燧灘を遠くに臨む

ねぇ、聞いてくれる。

手術が長引いて、ワタシ殊の外 心配しとったんよ。

術後の集中治療室に案内されて、夫の顔を覗き込むと

夫は、カチカチに青ざめて渇き切った口元をしていたのよ。

「お父さん」と呼んでも応答がなく…

固くて血の気の無い形相に驚愕していると

絶妙なタイミングで、ふっと目を開けて茶目っ気たっぷりに

「あなたは誰?」

もう~~〜こんな時にそんな言葉やめてよ〜。

White Stone(夫)流のジョークを聞いて大爆笑よ!

期待に充分応えてくれたわ。

これで皆に報告できるわ...☆”
7/17 人工股関節全置換術THA、夫の手術が無事終わりました。

晴れ

穏やか

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「八千代へ行くか!」と、夫が息子(次男)を誘った。
「乾杯!」「カンパ~イ!」「かんぱい」と、夫と息子と私の声が座敷に響いた。
お品書きの無い寿司屋で、アコウの煮付け、ひめ貝のヌタ、そして、ニシツボの塩焼きを食べた。
私は揺らぐ炎を見ながら夫と次男の会話に耳を傾けていた。
心地よい時間だった。向き合う二人のかたわらでこんなにも穏やか・・・目頭が熱くなった。
「お父さん、息子を立派に育ててくれてありがとう。お父さんのおかげです。私、ひとりでは無理でした。」

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ニシの塩焼き

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先日、ようやく息子(次男)の部屋にエアコンが付いた。彼は、初任給でテレビを買い、初のボーナスから愛車フーガの支払いが始まり、次に高価な衣類やゲーム機を購入し、そして、3年目の夏のボーナスで ついにエアコンを購入した。この先、400ccのバイクを手に入れるらしい。物にこだわりながら なかなか楽しく快適に暮らしているようだ。

未熟児で生まれた彼は、今年3月に二十歳になった。彼は本来、穏やかで照れ屋で大人しい。
乳幼児期、しきりに「だっこ。抱っこ~!」の日々だった。私がお手洗いの用を足している間をもドアの前でピーピー泣いて待っていた。
小学校低学年の頃、学校へ行くことをしぶるので手を引いて登校し校門で出迎えてくれる先生にご挨拶をすること再々だった。
「おまえ、それでも男か?アマチャンじゃのう。」
と、父親の渇が飛んできて大惨事になったことが幾度もあった。息子を守りきれない自分をいつも責めた。
息子を甘やかす自分の行動を棚に上げ
「いつになったら大きくなるん。いつまでも可愛い~じゃ、生きていけんのんよ。ええかげん、しっかりしてくれな。」
と、焦ったこともある。
父親の理想とする息子に育てることが出来ず、深みにはまり よからぬ想いがよぎった事もある。このうえもなく尊い命を奪うところだった。
傷つく息子を案じ、いたたまれない想いをBlogに記すことが多くなった。
旗を翻しガイドさながら「母さんについて来て!!」と、発狂発言をしたことがある。「子どもたちが巣立ったら私も巣立つよ。」と、記事内でこの家を出ることを宣言したこともある。
その思いは、
「母さんは、父さんのフィールドで好きなことをしよったらえんよ。場外では生きて行けんよ。」と、子どもたちの反論であっさり撃沈し思いとどまった。

彼の小さい身体を見ていると全く見過ごしてしまいそうだけど、彼の取柄は 持久力があることだ。確かに学生時代、いつまでも長~く走れる姿を見せてくれた。
彼には、父親の不器用な愛情表現を察する優しさがある。彼には、浅はかな私を許してくれる寛大さがある。
生きて生きて生き抜いてよ。

作家 井上ひさしさんの言葉を引用することをお許しください。

いきいき生きる いきいき生きる ひとりで立ってまっすぐ生きる
困ったときは目をあげて 星をめあてにまっすぐ生きる 息あるうちはいきいき生きる
・・・
しっかりつかむ しっかりつかむ まことの智恵をしっかりつかむ
困ったときは手を出して 友達の手をしっかりつかむ 手と手をつないでしっかり生きる

その通り生きる姿が、母さんには見えるよ。
父親に認められる日は、そう遠くない。

甘露。甘露。

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